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『百年海図巻 アニメーションのジオラマ』は、次世紀まで上映し続ける『百年海図巻』を、体感可能な時間にまで縮め、より直感的に体験できるよう演出したインスタレーションです。日本の古典絵画に見られる 先人達の空間認識を探りながら再構築された幅約20mの映像が、映像の中の世界と自分がいる世界が曖昧で表裏一体の空間を創り出し、上昇する海面が鑑賞者を飲み込んでいきます。 海面が上昇していくという問題を身近な問題として体感してもらえれば、と僕らは考えています。
センター+フルスクリーン
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百年海図巻
2009年9月、WWF(世界自然保護基金)は「今世紀末までに地球の海面は最大120cm 上昇する」との予測を発表しました。これは、従来の上昇予測の約2倍という数値です。この予測を島国に住む私たちは、より身近な問題として受け止め、ひとりひとりが何かを感じ、考えなくてはならない状況なのだと思います。
『百年海図巻』は、上映時間が100年の映像作品です。WWFの予測に基づき、一世紀後に向け上昇してゆく海面の様子を100年間実寸の時間で上映し続けます。
2009年の予測に基づくこの映像は、生まれた瞬間から現実の海とのパラレルな世界になります。100年後、私たちが『百年海図巻』を見たとき、現実の海は、いったいどんな様子になっているのでしょう。私たちが予想したよりも凄惨な海なのか、それとも穏やかな海なのか。映像の海はその時がくるまで上昇し続けます。
[CONCEPT]
日本の先人達が描いた波は、よく線の集合で表現されます。そして、その線の集合には、波や海が一つの生き物かのように、どこか生命を感じます。それは、彼らには、自然に対して畏敬の念のようなものがあり、波や海が一つの生命に見えたからではないか。そして、彼らには実際、古典的な日本画のように世界が見えていたのではないか、と考えました。常識によって固定化された現代の客観的世界と、かつて私たちが見ていた主観的世界を再び統合的なものにする。そのような考えの基、今回は、仮想の3次元空間上のどのような視点から切り取っても、日本画的な線の集合で表現されるように、波を立体的に構築していきました。そうすることによって、先人達には世界がどのように映っていたのかを、知ることができるのではないかと思ったのです。
3次元空間上に立体的に構築された世界を、日本の先人達の空間認識を再現するように映像化する。そうすることによって、鑑賞者が映像の世界を客観的に観るのではなく、映像の中の世界と自分がいる世界が曖昧で表裏一体になるような、新しい映像表現ができるのではないか。そして、映像で表現される世界が、もっと身体的な体感になるのではないか。そんな疑問への試みなのです。
図1:空間上に立体的に構築された波と島を、パースペクティブによって平面化した画。
図2:図1と同じ空間を、日本の古典絵画的に平面かした完成画。
[RELATED WORK]
百年海図巻 アニメーションのジオラマ Dome ver.
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